ビックバン説が正しいものとする。
世界が生まれ、その瞬間に量子や力から成るこの世のルールができた。
そのルールに従い星が生まれ、銀河になり、広がり、その片隅に生命が発生した。
やがて生命は、情報や技術を後世に伝えることのできる知性にたどり着いた。
この営みは、すべてが世界そのものといえる。過程から結果までふくめて世界といえる。
星も空間も光も風も大地も、命も心も知性も、世界そのものだ。
世界が生まれ、長い歴史を経て、世界に好奇心を持ち考察する人にまでたどり着いた。
世界は世界について考察できるところまで至った。
もしかしたら、ビックバンから今に至る出来事は、世界の自分探しの旅なのかもしれない。
もしかしたら、物理法則がわずかに異なる宇宙にもやがて知性が生まれ、自分について考察しているのかもしれない。
世界がやっと獲得できた知性という存在が、人なのかもしれない。